包丁の選び方 ~錆びにくい鋼材編 その1~
まいど、なべです。
人類の歴史の中で、
「錆びない金属を作る」ということは
大きな大きな課題でしたが、
1913年(第一次世界大戦前)、イギリスのブレアリーが、
鉄に13%のクロームと、0.3%の炭素を加えた、
“マルテンサイトステンレス鋼”を発明しました。
それから約100年を経た現在、
新たに開発される包丁のほとんどは、
ステンレス(錆びずらい)鋼材を使用しています。
(注:刃物用としての「ステンレス鋼」とは、
クロームを12%以上含んでいることを意味します)
これまで、ステンレス包丁というと、炭素量が少ないため、
硬度が低く、切れないという印象が強かったのですが、
最近では、高炭素での開発も進み、切れ味も改良され、
炭素鋼(さびるタイプ)以上の硬度を持つ鋼材まで出てきました。
酢を使用するお寿司屋さんはもちろん、
日本料理店や居酒屋の料理人さんからも、
ステンレス包丁の注文が急増しています。
手入れが楽というのが一番大きな理由ですが、
衛生面で安心という面も、
錆びない包丁が好まる要因のようです。
今日は、和包丁で使用される主なステンレス鋼について
いくつかご紹介します。
●AUS・・・愛知製鋼で作られているステンレス鋼で、
AUS-6・8・10(6A、8A、10A)がある。
低価格で、研ぎやすく扱いやすい。
●V金ゴールド・・・武生製鋼の13クロームステンレス鋼。
切れ味は比較的良いが研磨や刃付けが難しい。
●V金10号・・・同じく武生製鋼の生産。硬度60以上。
研ぎやすく粘りがあるが、加工性が悪く高価。
●銀紙3号・・・通称「銀三」。日立金属が生産。
銀紙1号に炭素を多く加えたもので、
硬度59~61と炭素鋼並の硬さと切れ味を出す。
錆びない和包丁として長年愛用されている。
●ATS-34・・・銀三の改良型。ナイフの優秀鋼材として
日立金属が開発。高純度の鋼に、クロームと
カーボンをを多く含有させ、かなり硬く、切れ
味も良い。刃持ちの良さ、粘り強さ、錆びに対
する強さと、和秒長に求められる様々な要素を
バランス良く備える。
●ZDP189・・・日立金属が生産する最強の粉末鋼。
硬度は67以上で、最高硬度を誇る。硬度、
粘り、磨耗性、腐食耐性において、今ある
刃物用鋼材としては究極の特性を持つ。
ただし、あまりに硬度なため、普通の砥石
研ぐことは厳しい。値段もかなり高価。
以上が、和包丁に使われている主な鋼材ですが、
私のおススメとしては、
霞(合わせ)包丁なら銀三、本焼きならATS34です。
特に、ATS34は、料理人さんからの評判が高いです。
価格的には、きちんと鍛造の入った商品なら、
銀三(霞)の柳が3~5万円程度、
ATS34(本焼)の柳で8~12万円程度でしょう。
ZDP189は最上級の商品ですが、硬くて研ぎが難しいため、
ベテラン向きの、マニアックな一品といえます。
砥石は、セラミック砥石をおすすめします。
次回は、洋包丁に使用される鋼材について書いてみます。
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